「新聞女」こと西澤みゆきは、具体美術協会(以降、「具体」と表記する)設立メンバーのひとりであった嶋本昭三の弟子であり、彼との出会いによって芸術活動を始めている。「新聞女」という名前が示しているように、彼女のパフォーマンスは「新聞」を使って行われる。新聞はつなぎ合わされドレスやジャケットとなり、そこには花形に切り取られた新聞や新聞で作られたレースが付けられ、時には傘やカバン、ハイヒールなどにも新聞が切り貼りされる。新聞でできたそれらのコスチュームを身にまとうことで、新聞女は大量の新聞の渦の中に多くの観客を巻き込んでいくのである。「具体」が世界的に評価・研究されていくなか で、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で亡き師匠へのオマージュとして大きなドレスの裾で観客を包み込んだパフォーマンス(2013年)をした様子を写 真で見たことは記憶に新しい。
Photo: Christine Butler © Solomon R. Guggenheim Foundation, New York |